桶ができるまで

工程1 【1】 ミカン割にした材を、桶の直径に応じて彎曲したナタで割ります。この際、桶用の材は年輪と直角(柾目)に割り、樽の場合は年輪に沿って(板目)割ります。材を柾目に数枚割っていくと、だんだん年輪に直角に割れなくなってきます。そこで、直角になるようにナタの角度を変えますが、その際に端材が生じます。正確な柾目だけを割ろうとすると、一本の木から取れる材は少なくなります。
   
工程2 【2】 「セン」と呼ばれる刃物で、材の表裏を荒削りします。人と同じで木にも素直な性格とひねくれた性格のものがあります。素直な木は、ナタで割れば上から下までほぼ同じ厚さになりますが、ひねくれた木では、とんでもない形状に割れてしまします。それをセンで削り、板の厚さを均等にします。
   
工程3 【3】 荒削りした材の表裏を鉋(カンナ)で形を整えます。桶の直径に応じて鉋の彎曲も異なります。センで荒削りした表面に鉋をかけると芳しい香りとともに美しい木目が現れます。木の命を感じられ、癒される瞬間です。
   
工程4 【4】 側板の側面を正直と呼ばれる鉋で削ります。側板と側板がぴったりと接合しないと桶に隙間ができて水が漏れます。また、側板の上部から下部にかけて板幅を徐々に細くなるように削ります。このことによって、桶の上部より下部の直径が小さくなり、最後に箍(タガ)で締め付けることができます。正直による削りは、水を漏らすことなく、綺麗な円形の桶を作るために、きわめて重要な工程です。
   
工程5 【5】 側板と側板を竹釘で接合し、最後に箍をはめ込むまでの仮接合として糊着けします。 細く小さな竹釘がこれから数十年から百年間、桶を蔭でしっかりと支えてくれると思い一本一本丁寧に削ります。
   
工程6 【6】 側板の仮接合の最終段階です。徐々に丸い桶の形ができてきました。
   
工程7 【7】 仮接合した桶の下部に底板をはめ込むための溝をヤリ鉋で彫ります。杉の年輪は、夏目と冬目(夏に成長した部分は夏目と呼ばれ、柔らかく淡い色をしています。一方冬に成長した部分は冬目と呼ばれ、色が濃く硬くなっています)の硬さの違いが大きく、硬さの変化に応じて滑らかに彫らなければなりません。
   
工程8 【8】 平板から底板を丸く削り出します。桶を長年使い続けていく間に、丸く削り出した底板が年輪の方向の違いによって変形します。将来変形することを踏まえて、底板を削る際、真円ではなくわずかに縦横の直径に変化をつけます。
   
工程9 【9】 底板の側面を金属棒で押さえつけて表面を圧縮し、桶下部の溝にはめ込みます。底板の直径が小さすぎると水が漏れます。また大きすぎる底板を無理やりはめ込もうとすると桶本体が割れてしまします。底板の削りを微妙に調整して、きっちりと溝にはめ込めることができると、ほっと一息です。
   
工程10 【10】箍を編みます。箍の材料は銅線です。編んだ銅線はその時の気持ちの状態を表します。気持ちが不安定であれば、編んだ目に乱れが生じます。
   
工程11 【11】箍が編み上がりました。これを桶の下からはめ込みます。
   
工程12 【12】 箍(タガ)で締めて、側板と底板を固定し、最後に熱湯に浸けます。底板をはめ込む際に、金属棒で底板の側面を押さえつけて圧縮させましたが、熱湯に浸けることで底板が膨張し、桶本体と底板が接合します。乾いた桶の上部と底部の面取りをして完成です。